まずは、トラクタ部分の奇跡図を作成します。
必要な車両諸元は長さ、幅、軸距、輪距、カプラオフセット、最小回転半径です。
最小回転半径がわからない場合は、前輪の角度(外側39°前後)と軸距がわかればある程度は正確に描けます。
旋回軌跡図1
今回は、トラクタの最小回転半径が5.3m(カタログ値)なので、前輪外側の車輪中心から5.3mの円を描き、後輪軸延長上との交点に中心点を取ります。
ちなみに赤い線がトラクタの最前面、水色が最背面、へそみたいなものが連結部(カプラとも言います)です。
旋回軌跡図2
図の「回転中心」を中心として、15°時計回りに回転させると図のようになります。
旋回軌跡図3
同じように15°ずつ、あと5回分、回転させるとこのようになります。
15°を計6回で90°右に回りました。
旋回軌跡図4
トラクタが90°右を向いたので、あとは直進させます。
旋回軌跡図5
トラクタの次はトレーラーです。
車両諸元通りの寸法で、連結部分を基準にトレーラーを描きます。
言うまでもなく、連結部分は共通です。トレーラー側ではキングピンの位置になります。
見やすくするためにトラクタの線は細くしてあります。
今度はトレーラーの最前部が赤い太線、最後部が水色の太線、側面が緑の太線です。
旋回軌跡図7
次にトレーラーを移動させていきます。
異動後のトレーラーを描くのに必要な情報はトレーラーの傾きです。
トレーラーの傾きを求める手順は、
(手順1)15°移動した後の連結部から後輪軸までの距離と同じ円弧を描く。
(手順2)今引いた円弧と移動前のトレーラ部の垂直軸(縦の点線)の交点と、同じく移動前の後輪軸の中心点との中点を求める。
(手順3)15°移動した後の連結部分から、手順2で求めた中点に向かって線を描く。
(手順4)手順3で書いた線が、15°移動した後のトレーラーの車体の傾きになります。(なるらしいです。)
旋回軌跡図8
トレーラー部を完成させるとこうなります。
旋回軌跡図9
同じ手順を繰り返すと、こうなります。
旋回軌跡図10
さらに繰り返します。
旋回軌跡図11
最終的にこうなります。
旋回軌跡図12
車両の通る一番外側に縦と横に垂線を描き、さらに45°の線を描き車両の内側の交点からさらに縦と横に垂線を引くとこうなります。
旋回軌跡図13
あくまで図面上ですが、必要な道幅は約8mであることがわかります。

ただし、この作図方法の軌跡通りに車両を動かすには、はじめに、めいっぱいハンドルを切った状態でスタートして車体が90°回ったところで一旦停止し、ハンドルをまっすぐに戻してから再発進することになります。
通常そのように運転することはなく、カーブ後半で徐々にハンドル角を戻しながらの運転になるはずですから、実際の軌跡はもっと大回りになるはずです。
あくまで、車体の構造上、回転できる最小の値を計算しているにすぎません。

この作図は、「セミトレーラ及びフルトレーラの直角旋回軌跡図の様式」 (JASO Z 006-92)(社)自動車技術会の方法を参考にしていますが、もし間違い等ありましたらご指摘ください。

旋回軌跡図の作成(2)に続く