旋回軌跡図の作成(1)では、トラクタの最小回転半径をそのまま利用した作図方法でした。
一般的に軌跡図の作成が必要なケースは、特殊車両通行許可申請においては交差点で折進が可能かどうかを判断する為の資料として提出を求められる場合があります。その場合は軌跡図の作成(1)の方法で描いた軌跡図を提出します。
これは、これで正しく描けると思うのですが、連結した状態でトラクタのハンドルをめいっぱい切った状態で回り続けると、いつかジャックナイフ状態になってしまします。
トラクタの回転にトレーラが追い付かなくなりますので、何となく感じは掴んでいただけると思います。
そこで出てくるのが「連結時最小回転半径」です。
公式がありまして
R:連結時の最小回転半径(mm)
L1:トラクタ軸距(mm)
L2:トレーラ軸距(mm)
l1:トラクタ前輪輪距の1/2の値(mm)
S:トラクタカプラオフセット(mm)
となっております。
一見しただけで、どこかにできる直角三角形の斜辺の長さが、最小回転半径になるんだなという予想はつきます。
わかりやすくするために、トラクタとトレーラーを90°に配置して考えます。
このように、90°の折角で配置したトラクタ前輪(外側)とトレーラ後軸中心を結んだ距離が、最小回転半径と等しくなることがわかります。
最小回転半径がわかったら、次は回転中心を求めます。
トラクタ前輪(外側)から、先ほど求めた最小回転半径の円を描き、後輪軸延長線上との交点を求めます。
ここが、回転中心になります。
ここを中心として回転させていくと
このような軌跡になります。後の流れは旋回軌跡図の作成(1)と同様です。
この「連結最小回転半径」は、ジャックナイフ状態になることなく永遠に回転し続けることができる最小の回転半径といえます。
連結時最小回転半径は、道路運送車両法上の連結時の最小回転半径12m以内の基準内に収まっているかどうかを判断する為の数字上の基準ですので、連結時最小回転半径を利用して軌跡図を描くことはほとんど無いとは思います。
あくまで旋回軌跡図といえば旋回軌跡図の作成(1)で書いているように、トラクタの最小回転半径を用いるのが原則と思います。